だから私はブログLOVE♡

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文章を書くのが好きになったのは、大学一年生の頃。

 

 

 

大学の講義で文章を書くようになった。

 

 

 

いや、正確に言えば、書かされていた。

 

 

 

 

私が受講していた心理学入門では、毎回小レポートが課されていたのだが、これが「ちょー勉強になりまちた!」とか「めっちゃ興味を持ったピョン♡」とかそういう無難な感想で逃げられるようなレポートではなく、ある”問い”が設定されており、その回答に対して5点満点の評価が下されていた。 

 

 

 

そして、その”問い”とやらがやたらクセの強ぇ”問い”でして、何と言いましょうか、その心理学入門性が高く、心理学入門味溢れる、心理学入門風で心理学入門にふさわしい”問い”でして。

 

 

 

入学当初、俗に言う”楽単”をリサーチし、小レポートが評価の60%を占める「心理学入門」に目を付けていたんですけれども、最初の心理学入門で課された小レポートの問いにガッツリ度肝抜かれまして。ご紹介までに、その小レポートの問いがこちら。

 

 

 

 

 

「地球外生命体が数をどうやって認識しているかを理解するにはどうしたよいか?」

 

 

 

 

 

この問いを見た瞬間、迅速に帰宅してやろうと思った。大学入試の英文和訳みたいな文章。疑問詞の利用は1回限りにして頂きたい。ぼくにはむじゅかちい。

 

 

 

入学ホヤホヤなんだからもっとこう優しい感じの問いにしてほしい。最初から問いが強烈というか剛腕というか。マサラタウンにカイリキーはまだ出没しちゃダメなのよ。こっちはまだ1レベのポッチャマなのよ。

 

 

 

しかし、この問いに早急に対応できるレベルこそ文部科学省が大学生に求めるレベルであろうか。この問題に答えられるだけの能力が日本社会で要求されるのだろうか。

 

 

 

いや、もしやこの難解な問いを前に新大学1年生が次々と口から泡を吹いて倒れる中、それでもこの問いに勇敢に立ち向かわんとするその精神力に60%の評価がなされるのかもしれない。

 

 

私を含めた新大学1年生が知らないだけで、実はこの講義が2年生以上なら誰しもが恐れおののく”鬼単”の可能性もある。

 

 

受講生の心を揺さぶり、疑心暗鬼に陥らせ、身をもって学ばせる超実践型心理学入門。そしてこの教鞭を執る教授の力量たるや。彼が纏う霊圧は他を圧倒しており、彼が放つ90番台の破道の威力も藍染惣右介のそれと同等であろう。「一体いつから履修登録できていると錯覚していた?」と猜疑心を植え付ける現世の死神代行。オソロシヤァアアア…

 

 

 

震える右手で新品のパソコンを開き、それでもなんとか回答を打ち込もうとした、その時  

 

 

 

 

 

 

カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ...

 

 

 

 

 

突如教室中に鳴り響くブラインドタッチのタイピング音。

 

 

 

 

 

右隣の女子はOLのスピードでキーボードを連打し、左隣の眼鏡くんも高校時代ハッキング部部長を務めてたんじゃないかってくらいタイピングが早い。

 

 

前列を見ても、早い、後ろを振り返っても無論、早い。ふと周りを見渡すと、みんな、早い。

 

 

そして何を隠そうこの私、タイピング、遅い。

 

 

すこぶる遅い。すべからく遅い。みんなが快速なら私は各駅停車なみに遅い。

 

 

ブラインドタッチの対極にいる、ガン見ポチポチの使い手。

 

  

キーボードを両手の人差し指で優しくにプレスすることしかできない私は、もはやパソコンを施術する指圧師と化していた。

 

 

 

さらに受講生が奏でる素早いタイピング音のハーモニーも、私には耳障りな不協和音でしかなく、その間も刻一刻とレポート締め切りのタイムリミットが迫りくる。

 

 

 

圧倒的に欠落したタイピング能力と実に不快なBGM、そして複雑怪奇な問いが私を焦らせ、ガンポチにも関わらずタイピングを間違えること鬼の如し。バックスペースキーを押すこと風の如し。あぁー、誰か助けてぇぇえ、フォロミィィイイベイベェエエー。

 

 

 

 

それでも必死に食らいつき、締め切り2分前に提出した小レポートの点数は、3

 

 

良くもなければ悪くもない。しかし、かけた時間と熱量を考慮すると機会損失も甚だしい。教授にシンプルにチョップを差し上げたい。

 

 

 

 

そして迎えた第2回    

 

 

「もうハードモードってのは分かってるから、まじどんな問いでもかかってこいや卍」

 

 

私の心の高田延彦が虚勢を張っていたが実は内心、怖い。今回はどんな問いが出されるのやらと不安を抱えていた。

 

 

今回の問いは、 

 

 

 

「思い出にまつわる心理学的ショートショート

 

 

 

ショートショート

 

 

ショートの次に来る単語は、ケーキかカットかコントしか脳内に保存してない。なんだその、まえだまえだ、みたいな響きは。

 

 

ショートショート」を調べてみると、どうやら”小説の中でも特に短い作品”のことらしい。もはや問いではない。この講義の内で短編小説を書けなんて鬼の所業。キツめのビンタを献上したい。

 

 

 

 

それでも頭をフル回転させながら、書き上げたレポートの点数が、3

 

 

 

 

これまた中の中。頭の回転数とレポートの点数が見合ってないじゃないかと不服ながらも、頑張りだけを称えられる年齢はとうに超えている。

 

 

頑張ってレポートを書くんじゃなくて、評価に値するレポートを頑張って書かなければならない。

 

 

負けず嫌いでストイックな私の心の武井壮がそう囁きかける。

 

 

 

 

そして、次週の講義で出された問いは、

 

 

 

「幽霊が視えることは何を意味するか?」

 

 

 

…知らん。あえて答えるなら、胡散臭さ。

 

 

 

いや、でも考えろ。考えるんだ。評価に値するレポートを書きあげるんだ。気合いだ気合いだ気合いだ気合いだ。

 

 

泥臭く頑張れと私の心のアニマル浜口がそう元気づけてくれる。

 

 

 

必死の考えの全てを集約したレポートの点数は、

 

 

 

 

3

 

 

 

…3点。

 

 

 

そして次週    

 

 

 

「耳が聞こえないふりをしている人を見破るにはどうするか?」

 

 

 

人生でこのシチュエーションに出くわすことはまずないが、これまでに比べると考えやすく答えやすそうな問い。

 

 

この問題ならなんだかイケそうな気がする。

 

 

結果が出ずに気分が塞ぎがちになっていたが、私の心の天津木村が根拠のない自信とエールをくれる。

 

 

これまでの経験と知識をフル活用し、文章構成を練りに練って、推敲に推敲を重ねて、挑んだ小レポートの点数が、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3

 

 

 

 

 

 

 

3点?さんてん?...ん?

 

 

 

 

頑丈で大容量の堪忍袋の緒も、度重なる3点という痛烈な結果によって、破裂した。

 

 

 

 

 

3点だと?んあ?オラぁゴロァ?

 

 

 

 

 

んお?なんで?なんで3点なんじゃボケェ、こちとて必死に考えとんねん、なんじゃその態度は、お?

 

 

 

そして毎回毎回なんなんじゃこの訳の解らん”問い”はオラァ、地球外生命体は関暁夫に聞け、関に。そしてショートショートは文学部に書かせぇ、ワイは経済学部の男じゃけぇのぉ、幽霊も視える視えないもどうでもええぇ、耳が聞こえないふりを見破り方なんて考えたの佐村河内の報道記者くらいじゃアホンダラぁぁぁああ

 

 

 

ワイはもっと「男女の友情は成立するのか?♡」とか「人の心をいとも簡単に操るには?」みたいにドキドキワクワクするファニーでインタレスティングな”問い”を隣の女子とああだこうだ言いながらイチャイチャして単位と連絡先ゲット♡みたいな”問い”がよかったんじゃあぁぁあああ、そんな”問い”でよかったんちゃうんかァァアアア…嗚呼。

 

 

 

 

 

 

3

 

 

 

 

良くもなければ悪くもない、可もなく不可もない、月並みに凡庸でありふれた点数。

 

 

でも3点は、悔しい。

 

 

 

まるでその程度ですって見下されているような、努力が足りないと否定されているような。

 

 

 

私は努力不足なのか。

 

 

 

4点に届かない、5点に至らない、3点にしか満たない努力しかしていないのか。

 

 

 

 

果たして、5点の努力、とは。

 

 

 

 

 

斬新な考え方か、はたまた根拠の明示か、取り組む意欲?それとも文字数?

 

 

 

もしかすると、「後ろの座席でモンストしてそうな金髪男子は問答無用でマイナス2点。」のように理不尽な減点法が採用されているかもしれない。

 

 

 

まさか、「おじさんのスネ毛をブラジリアンワックスでピッタリ100本抜いてくれた黒髪ロングの女の子には特別に5点あげちゃいま~ちゅ♡♡」みたいないかがわしいボーナスステージでも存在するのか。

 

 

 

 

その基準、何ぞ。

 

 

 

 

どんな基準で採点しているのか、どんな小レポートが5点満点の小レポートなのか、5点を獲得している学生はいるのか。知りたい。私も5点を獲得したい。

 

 

 

教授にメールを送って直接聞いてみようと学校のポータルサイトを漁っていると、「小レポート集」と記載されたPDFファイルが添付されていた。

 

 

 

どうやらこの小レポート集は5点満点を獲得した学生の小レポートが記載されているようで。

 

 

 

どんな小レポートで、どんなことが書かれて、どんなところが評価され、5点満点を獲得しているのかと気になり、実際に読んでみた。

 

 

 

 

その当時の感想を率直に一言で申し上げると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リーファぁぁあンタぁぁぁああスティッ~ク♡♡♡

 

 

 

 

面白い。圧倒的にフリーダム。創造的なセンテンス。論理的でありながら、堅苦しくない。手書きのオリジナルキャラクターで図解されていたり、架空の人物が登場するラノベ風に書かれていたり。フツーに笑った。ニヤニヤした。

 

 

 

そして、5点を獲得した学生全員に共通していたのが、読者を惹き込むオモシロイさであり、私の小レポートに足りていない要素だった。

 

 

 

評価の基準は各教授でさまざまあるのかもしれないが、私が受講していた心理学入門の教鞭を執っているあの教授は、間違いなくそういったレポートを評価していた。

 

 

 

理解しました教授、そういうことだったんですね、斬新な考えでありながらも、その根拠が明示され、なおかつ採点者を惹き込むオモシロイ、そんな小レポートだったんですね。

 

 

 

評価のカラクリを理解した私は、その日から変わった。というか、悟った。

 

 

 

 

 

面白、是、最重要的。

 

 

 

 

 

そして迎える心理学入門    

 

 

 

問いは、「ガチのアクティブラーナーを育成するには」

 

 

 

 

ほう、アクティブラーナーですか、理解しました、記述させて頂きましょう。

 

 

 

先週までは両隣の素早いタイピングに焦燥感を感じていたが、評価の神髄を悟った私にとってタイピングは無意味な指関節の体操にしか見えない。

 

 

 

違う違う、そうじゃない、必死に書けばいいってことじゃない。

 

 

 

私の心の鈴木雅之も呆れていた。

 

 

 

 

 

5点獲得の秘訣は、読者を惹き込むオモシロさなのだ。

 

 

 

 

読者を惹き込む言葉や文章構成、ロジックと誇張表現、その全てをふんだんに盛り込んだ我が小レポートよ、いざ教授の元へ。

 

 

 

 

その点数、5

 

 

 

次週、「大学までの道のりを主観的に短縮するには」

 

 

 

承知しました。いざ参れ、我が小レポート。

 

 

 

結果、5

 

 

 

 

次週、5

 

 

 

その次の週も、5

 

 

 

 

その後も積み重ねる”5”の山。

 

 

 

 

また、5だ。

 

 

 

はは、必死にレポートに食らいついて3しか取れていなかったあの頃の自分が懐かしい。

 

 

 

 

あの頃は何をそんなに頑張っていたのだろう。なぜそんなに必死に取り組んでいたのだろう。

 

 

 

これほど容易く獲得できる点数だったとは。呆れた。

 

 

 

呆れt

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あー、はい、もうやめた。今から雰囲気ぶち壊します。

 

 

 

 

 

 

 

 

ヨッッシャァァア(☝ ՞ਊ ՞)☝アゲアゲ

5点マジ鬼嬉Cィィイんご♪☆

 

 

 

ちょー嬉しィィィイ!!!5点キタぁぁあああ!!!!!!ごめんなさいスカしてました、めっちゃ嬉しぃい!ウレシイウレシイウレシイ!ぼくちんの小レポートも小レポート集に記載されて、日の目を浴びるぼくちんの小レポートがもう超カワイイ♡小レポートの名前がその当時ハマっていたKPOPアイドルのTWICEにしてたのはちょっぴり恥ずかしかったけど、もうそんなことどうでもいいくらいにマジうれぴよでタピオカミルクティーなぴえんで卍ィイイイ!!!!

 

 

 

 

 

 

…失礼しました、取り乱しました。はい、えー、こういった感じで文章を書くことが好きになりました。好きになったのは心理学入門の小レポートがキッカケです。

 

 

 

そしてその好きが加速するキッカケもございまして、それが熊谷真士さんの「断食」のブログです。

 

 

 

文章で人をここまで楽しませることができるんだって衝撃を受けました。

 

 

 

大学の講義中に熊谷さんの「断食」のブログを読んだんですけど、1人大爆笑しちゃいまして。周りは完全に引いていたでしょうね。ケータイ見ながらグフグフしてるんですもんね。不気味ですよね。

 

 

 

それでも、熊谷さんのブログに没頭していました。他にもいろいろ読んだんですけど、マジ面白いんですよね。急にボキャ貧になっちゃうんですけど、マジ、で、面白いんですよ。

 

 

 

なんかこう動画と違って、ド派手な演出など一切ない無機質な文章なのに、画面をスクロールするワクワク感がそこにあって、読んだ後にはスッキリとした読了感を感じられて、次はいつブログが投稿されるかなーっていうドキドキ感があるんです。

 

 

 

 

好きだなぁ。恋かなぁ。憧れだなぁ。

 

 

 

 

そうやってスキが溢れる何かがあるってステキだし、僕もその溢れる何かができて嬉しいんです。なんかこういうことを言ったり書いたりすると、語っちゃってんじゃねとかそういう非難が怖くて、ずっと想いを押しとどめてきたんですけど、口に出していくにつれて、その想いが強くなっていったというか、誰かが頑張っている姿を見て、俺も頑張ろうって思えるようになったというか、なんかそういう姿を見せて、そう思ってもらえたらいいなというか。

 

 

 

お世辞かもしれないけど、「ブログ面白い!」とか「ブログ楽しみにしてる!」が嬉しくて、

 

 

 

自意識過剰かもしれないけど、僕の文章で誰かをクスッと楽しませることができると思うと、僕も楽しくて、

 

 

 

大袈裟かもしれないけど、こんな長い文章を読んでくれて本当にありがたくて。

 

 

 

もちろん熊谷さんのオモシロさには到底及ばないし、こんな赤裸々な文章を読んだ後で笑えねーよってなるかもしれないけど、それでも一歩ずつ近づいていって、もっと自分のスキに自信を持ってもいいのかなって思うんです。

 

 

 

 

もっと勉強して、ずっと実力をつけて、文章レベルMAXに到達すればきっと、1文書けばクスっと、2文書けば大爆笑の渦が巻き起こり、ブログを読めば心が浄化され、明日の活力となり、Twitterでブログがトレンド入りし、大手出版社から執筆依頼の電話が鳴りやまず、出版した本が発行部数2000億部を突破し、直木賞芥川賞をW受賞、そしてその功績が称えられ、ノーベル文学賞を獲得、全世界的に有名となり、世界各国の首脳陣からから称賛の嵐で、その声を聞きつけた文部科学省の要請で、小学校の教科書にも掲載されるブログを書きたい。

 

 

 

 

だから私はブログLOVE♡

 

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。